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新法令・通達の解説
- ブランド・デザインの保護強化を図る知的財産制度の見直し
- 令和5.6.14 法律第51号=不正競争防止法等の一部を改正する法律
知財分野におけるデジタル化や国際化の進展などの環境変化をふまえ、時代の要請に対応した知的財産制度の見直しが行なわれています。
その範囲は多岐にわたり、たとえばブランド・デザイン等の保護強化では、次のような改正があります。
他人がすでに登録している商標と類似する商標は登録できませんが、先行商標権者の同意があり、出所混同のおそれがない場合には登録可能となります。自己の名前で事業活動を行なう者等がその名前を商標として利用できるよう、氏名を含む商標も、一定の場合には、他人の承諾なく登録可能とされます。
創作者等が出願前にデザインを複数公開した場合の救済措置の意匠登録手続きの要件が緩和されます。
商品形態の模倣行為について、デジタル空間における他人の商品形態を模倣した商品の提供行為も不正競争行為の対象とされ、差止請求権等を行使できるようになります。
ビッグデータを他社に共有するサービスにおいて、データを秘密管理している場合も含め限定提供データとして保護され、侵害行為の差止請求等が可能となります。損害賠償訴訟で、被侵害者の生産能力等を超える損害分も、使用許諾料相当額として増額請求が可能となるなど、営業秘密等の保護が強化されます。
特許法、実用新案法および意匠法について、特許権者の意思によらず他者に実施権を認める裁定手続きにおいて、提出書類に営業秘密が記載された場合に閲覧等を制限することが可能となります。
ブランド、デザイン等の保護強化のほか、コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続き等の整備として、送達制度や書面手続きのデジタル化、手数料減免制度を見直し、国際的な事業展開に関する制度整備として、外国公務員への贈賄に対する罰則の強化・拡充、国際的な営業秘密侵害事案における手続きの明確化が行なわれます。
この改正は、一部を除いて公布の日から1年以内に施行されます。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック