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新法令・通達の解説
(平成25年9月3日までの公布分)
- 船員の国際労働基準を明確化
- 平成25年8月7日条約第9号=2006年の海上の労働に関する条約
船員に関する既存の国際労働基準の大部分を整理・統合した海上労働条約が2006年2月に開かれたILO(国際労働機関)で採択され、このたび日本でも批准されました。
同条約は、船員に関する国際労働基準を明確化し、その遵守および執行の手続きを規定したものです。
主要海運国の1つである日本がこの条約を批准することは、国際海運分野における平等な競争条件を確保しつつ、船員の労働環境の改善に貢献するとみられます。
また、効率的な運行を行なうことでコスト面を含めた競争力向上に努めている日本の海運業界・船員にとっては、一層のシェア拡大と労働環境の向上につながることが期待されます。
以下、この条約の概要と締結の意義をみていきます。
(1)条約の概要
- 船員の賃金・年齢等に関する最低限の条件、雇用条件、居住設備、レクリエーション用の設備、食料・料理の提供、健康の保護、医療、厚生・社会保障による保護に関して規定する
- 商業活動に従事するすべての船舶(漁船、伝統的構造の船舶等を除く)に適用される
- 条約の実効性を確保するため、締約国は自国の船舶に対し検査を行ない、証書を発給するとともに、自国に寄港する他国の船舶について寄港国検査を行なう
(2)締結の意義
- 船員の労働環境の改善
- 国際海運分野における平等な競争条件の確保→非締約国の船舶も対象となる寄港国検査を実施することを通じて広く平等な競争条件を確保する
- 日本の船舶の競争力強化→日本の船舶は、すでに一定の労働環境を保障しており、条約に適合するために要するコストが低い
この条約が発効するための要件はすでに満たされており、ことし8月20日に効力が発生しました。日本については、批准を登録したことし8月5日から12か月が経過する平成26年8月5日に発効します。
その他の新法令・通達
- 労働安全衛生法施行令の一部が改正
- 胆管がん発症の蓋然性が極めて高い製剤を規制するなど、労働安全衛生法施行令の一部が改正されました。施行日は、平成25年10月1日です。
- (平成25.8.13政令第234号=労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令)
- 乗務員に対する過労防止対策を整備
- 乗務員に対する事業者の実施すべき過労防止措置を規定するなど、旅客自動車運送事業運輸規則の一部が改正されました。施行日は、一部を除いて平成26年5月1日です。
- (平成25.8.23国土交通省令第71号=旅客自動車運送事業運輸規則の一部を改正する省令)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック